賢治の用いたことば
〜童話集『注文の多い料理店』の語彙分類から〜

遠藤 純



 1.はじめに

 近年ますます広がりと深まりを見せる宮沢賢治研究だが、賢治の語彙研究、なかでもパーソナル・コンピュータを活用したそれは、現在においては必ずしも進展しているわけではないようだ。
 宮沢賢治と語彙といえば、即座に想起されるのが原子朗編著『宮沢賢治語彙事典』(1989東京書籍)及び『新宮沢賢治語彙事典』(1999同)である。以上の研究で、主要な賢治語彙のほぼ全容が明確になったといっても過言ではない。抽出された語彙に付された細部にわたる注釈・解題を見れば、古今東西の文学・哲学・宗教に精通した賢治語彙の多様さに改めて驚かされる。
 ただ、同書の解題では主要な作品用例が紹介されてはいるが、網羅的というわけではない。主要な用例やその解説を参照することはできても、集計や統計上の処理を必要とする研究には一つの手がかりを提供するのに留まるだろう。
 一方、語彙の中でも、ことオノマトペに関していえば、これまで研究が重ねられてきた部分ではある。松田嗣敏『宮沢賢治オノマトペ索引(童話篇)』(1981私家版)をはじめ、滝浦真人「宮沢賢治のオノマトペ 語彙・用例集(詩歌篇)補論・〈見立てられたオノマトペ〉」(『共立女子短期大学紀要』39, 1996)などは、いずれも言語学や国語学の立場から賢治の語彙研究に提言し、その分野を充実させてきた研究である。ところが一方で、「残念なことに、賢治のオノマトペに関して、データベース的に利用できる資料はほとんど見当たらない。」(注1)ともいわれるように、汎用性のある賢治語彙データベースについてはこれまでほとんど作成されてこなかった点が指摘されている。オノマトペに限らず、賢治語彙全般になるとより一層その感は強くなろう。
 以上のなかで、コンピュータを利用したデータベース作成の方法、その賢治研究上の可能性について報告する副島博彦「「賢治ファイル」の可能性」(『文学』7-1, 1996 岩波書店)は、この分野の研究を埋めるものとして注目される。
 福島は、コンピュータ、特にパーソナル・コンピュータで扱える機械可読テクスト(machine readable text)を作成することにより、「用例の抽出などの作業速度を飛躍的に高め、テクストから用例を網羅的に抜き出すといった機械的な作業をより容易で精確なものにする」(注2)といった利点を述べる。なおかつ、語彙の抽出や集計・統計処理などにこれまで用いられていた、付箋やカードといったテクストへのアプローチの方法の変化そのものが、機械可読テクストを活用することによって「読み」の変化をももたらす可能性があることを指摘している。きわめて興味深い発言である。
 しかし残念ながら、ここでは具体的事例にもとづいて、従来なされてきた「読み」を根本的に、あるいは部分的に修正するような事例は紹介されていない。機械可読テクストの作成方法、データ構造、検索の方法などの紹介に終始しているという点において、いわばその方法論の披露に留まっているようだ。
 以上の機械可読テクストを駆使して、すなわち機械が得意とする用例抽出、集計、統計などの処理をベースに、それらを新たに意味づける行為もひとつの「読み」になるとすれば、語彙分析からどのような新たな「読み」が立ち上がるのか。作品分析を支援するものとしてのパーソナル・コンピュータと、機械可読テクスト。語学に比して、いまだ文学研究では機械可読テクストの有効性・実用性はさほど認識されていないが、単に用例の抽出だけではない(いうまでもなく用例抽出そのものもきわめて重要であるが)、作品を読み解く新たな視点を導くためのツールとしてのそれに、本共同研究では多様な可能性を期してきた。
 本稿は、以上の経緯に基づき、文学研究を支援する汎用性データベース作成に関する共同研究を行ったその報告である。ここではひとまず、作品分析を行うための資料として作成したデータを統計処理し、普通名詞の語彙頻度をカテゴリー分類した結果を報告したい。
 サンプルは、宮沢賢治の童話集『注文の多い料理店』において賢治が用いた普通名詞とし、それらをすべて抽出した用例(5646例)を対象とした。本文は童話集『注文の多い料理店』(初版)を参照のうえ、独自の校訂を施した。共同研究の概要・データ作成方法・本文決定等の詳細については、『国際児童文学館紀要』第11号(1996大阪国際児童文学館)に掲載済である。併せてご参照いただきたい。


 2.語彙頻度

 「賢治の語彙頻度表を一覧すると、普通名詞は、「人」「水」「木」「眼」「声」「馬」「手」「雪」の順に頻度が高く、それは、人と自然と風土と共感覚の賢治の詩的宇宙を映し出しているように見える」(注3)と指摘されるように、普通名詞の用例抽出は既に原子朗らの語彙事典完成時に完了している。しかしその全容が公開されたわけではなく、語彙分類の方法も示されてはいない。
 賢治童話集『注文の多い料理店』に登場する全普通名詞を一定の分類方法でカテゴライズすればどうなるか。賢治の使用した語彙の特徴が浮かび上がるだろうか。
 そこで『注文の多い料理店』中の名詞5646例を、『類語新辞典』(1981角川書店)の分類方法にしたがってカテゴライズしてみた。次表1はその用例頻度数の結果である。

表1 名詞語彙分類頻度表
分類/作品名どんぐり狼森と注文の烏の北斗水仙月山男の月夜のかしは鹿踊り合計
0

00天文2712035337123413155
01暦日414222819038383
02気象35831751881811132
03地勢21315572951718102
04景観51571111464198144
05植物069521422241017474340
06動物05215176282833561281
07生理050283510731
08物質11111119131851112102
09物象24132131751212585
191952195719220192502182121455
1

10位置7771009578104815374108777
11形状0415466481654
12数量3248349342731334460388
13実質00010100002
14刺激184651773261592
15時間2112412241321153927188
16状態203041335728
17価値000211305214
18類型10012005009
19程度1031101213123
171242181721531701531182142361575
2

20動揺00002000002
21移動000005120311
22離合000060150214
23出没00000000000
24変形00000000000
25変質00000001001
26増減00001000102
27情勢00000000000
28経過00000000000
29関連010000900111
0100951181641
3

30動作00100130038
31往来000250071116
32表情0285788210353
33見聞00002000002
34陳述01003020309
35寝食00020100003
36労役02300110007
37授受00000000000
38操作02000000002
39生産01120000105
0813111711149157105
4

40感覚102311301820
41思考11023000018
42学習00003010307
43意向013411102013
44要求000810020011
45誘導01001002004
46闘争041140002012
47栄辱0422000013021
48愛憎00000030104
49悲喜01120030209
212922142114249109
5

50人称116630363722102339043470
51老若092604231172385
52親族001021150010
53仲間001490114020
54地位0006621016275117
55役割00200000305
56生産的職業0154300330028
57サービス的職業0601001031140
58人物003701103015
59神仏005006339010108
119672571141111497516152898
6

60体格0141110191032223121170
61容貌0311219133720112235200
62姿態011031023011
63身振り02010000328
64態度003012102110
65対人態度003141324119
66性格01101000104
67才能030001216013
68境遇00000000314
69心境020100436319
0543132415262418164458
7

70地域03181613113248
71集団0201130081328
72施設0601012840031
73統治080100021012
74取引10030021007
75報道00000001001
76習俗00022001005
77処世00003000003
78社交030421003013
79人倫00000000000
122129229232885148
8

80学術00020000002
81論理9591812210108386
82記号01141001113031
83言語010000014612
84文書0110001000012
85文学20300001017
86美術02000000002
87音楽0020000920132
88芸能00000000516
89娯楽00000010001
1130183012412224012191
9

90物資00614241049251
91薬品01012013102047
92食品37151639100121691
93衣類51731611610111717113
94建物0613514323011111
95家具02420022276164
96文具060013127222
97標識0012000722032
98工具07138271184262
99機械022382241101273
86858147354988898143666
696106395576096146154448436465646

 さらに、以上の頻度数をそのままグラフにしてみたのが次表2である。

表2 語彙頻度グラフ


 3.高頻度の用例について

 わかりづらい表ではあるが、大まかには語彙頻度数の分散傾向が把握できるかと思う。
 賢治語彙の抽出といえば、これまでオノマトペや色彩など、賢治作品において特徴的な箇所の用例が対象とされることが多かったが、ここでは用例が登場する頻度に関して見ておきたい。
 全般的にいえば、「自然」や「人物」に関することばに語彙が集中しているといえるだろうか。これは副島の報告と傾向を同一にする。
 童話集『注文の多い料理店』に見る限り、最も高頻度で使われている名詞は、「位置」に関することばであった。「位置」には、「内外」「前後左右」「上下」「遠近」「方向」などを意味することばが含まれている。『新類語新辞典』では「こそあど」の用例もこの部類に属するため、全777用例と多数になったわけだが、「こそあど」の267用例を除いても510例と多かった。
 そのうち、「方向」を表すことばに着目してみよう。
 全169用例のうち、北が16例(「西北」を含む)、東が15例、西と南はそれぞれ15例(同)と11例だったが、方向を示すその他の用例としては、「さかさま」「ななめ」「しほう」「(〜の)ほう」「むこう」などが見られた。
 賢治が北方、あるいは北東という方角に対して格別なる志向を有していたことは、赤坂憲雄や秋枝美保らの研究(注4)で明らかになっているが、用例数だけでいえば西や南に関してもほぼ同等に登場していることになる。
 次に頻度の高いのが「人称」である。
 全470例のうち、最も多いのが「いちろう」「かじゅう」「しなじん」など特定の人を指す言葉で206例。次いで、「自称」(「わたし」「おれ」「ぼく」など)の138例、「あなた」などの「対称」が55例であった。副島は、賢治の語彙頻度の最も高いものとして「人」を挙げているが、ここでも同様の結果が得られているといえるだろう。
 さらに、「数量」を示すことば(「ひとり」「一粒」「九疋」など)が全388例、「植物」「動物」を表すことばがそれぞれ340例、281例と続く。自然を好み、山野の跋渉に目覚めた賢治にしてみれば、動植物が多いことも従来から指摘されていることと同等の傾向を示している。


 4.分類別の用例

 「雲の詩人」といわれる賢治の「雲」はどれほどの頻度で出現するのか。
 導かれた用例は26例で、以下の文脈で使われていた。

【狼森と笊森、盗森】するとある年の秋、水のやうにつめたいすきとほる風が、柏の枯れ葉をさらさら鳴らし、岩手山の銀の冠には、の影がくつきり黒くうつつてゐる日でした。
【烏の北斗七星】つめたいいぢの悪いが、地べたにすれすれに垂れましたので、野はらは雪のあかりだか、日のあかりだか判らないやうになりました。
【烏の北斗七星】
 
烏の義勇艦隊は、そのに圧しつけられて、しかたなくちよつとの間、亜鉛の板をひろげたやうな雪の田圃のうへに横にならんで仮泊といふことをやりました。
【烏の北斗七星】がやつと少し上の方にのぼりましたので、とにかく烏の飛ぶくらゐのすき間ができました。
【烏の北斗七星】そのときはもうまつ先の烏の大尉は、四へんほど空で螺旋を巻いてしまつての鼻つ端まで行つて、そこからこんどはまつ直ぐに向ふの杜に進むところでした。
【烏の北斗七星】はうす黒く、ただ西の山のうへだけ濁つた水色の天の淵がのぞいて底光りしてゐます。
【烏の北斗七星】がすつかり消えて、新しく灼かれた鋼の空に、つめたいつめたい光がみなぎり、小さな星がいくつか聯合して爆発をやり、水車の心棒がキイキイ云ひます。
【水仙月の四日】猫のやうな耳をもち、ぼやぼやした灰いろの髪をした雪婆んごは、西の山脈の、ちぢれたぎらぎらのを越えて、遠くへでかけてゐたのです。
【水仙月の四日】こいつらは人の眼には見えないのですが、一ぺん風に狂ひ出すと、台地のはづれの雪の上から、すぐぼやぼやの雪雲をふんで、空をかけまはりもするのです。
【水仙月の四日】すると、もなく研きあげられたやうな群青の空から、まつ白な雪が、さぎの毛のやうに、いちめんに落ちてきました。
【水仙月の四日】雪だかだかもわからないのです。
【水仙月の四日】どんどんかける黒雲の間から、その尖つた耳と、ぎらぎら光る黄金の眼も見えます。
【水仙月の四日】狼どもが気ちがひのやうにかけめぐり、黒い足は雪雲の間からちらちらしました。
【水仙月の四日】そして、風と雪と、ぼさぼさの灰のやうなのなかで、ほんたうに日は暮れ雪は夜ぢう降つて降つて降つたのです。
【山男の四月】山男がこんなことをぼんやり考へてゐますと、その澄み切つた碧いそらをふわふわうるんだが、あてもなく東の方へ飛んで行きました。
【山男の四月】(ぜんたいといふものは、風のぐあひで、行つたり来たりぽかつと無くなつてみたり、俄かにまたでてきたりするもんだ。そこで雲助とかういふのだ。)
【山男の四月】はひかつてそらをかけ、かれ草はかんばしくあたたかです。
【かしはばやしの夜】
清作はすつかりどぎまぎしましたが、ちやうど夕がたでおなかが空いて、が団子のやうに見えてゐましたからあわてて、「えつ、今晩は。よいお晩でございます。えつ。お空はこれから銀のきな粉でまぶされます。ごめんなさい。」と言ひました。
【かしはばやしの夜】
林を出てから空を見ますと、さつきまでお月さまのあつたあたりはやつとぼんやりあかるくて、そこを黒い犬のやうな形のがかけて行き、林のずうつと向ふの沼森のあたりから、「赤いしやつぽのカンカラカンのカアン。」と画かきが力いつぱい叫んでゐる声がかすかにきこえまし
【月夜のでんしんばしら】そしてうろこ雲が空いつぱいでした。
【月夜のでんしんばしら】うろこぐもはみんな、もう月のひかりがはらわたの底までもしみとほつてよろよろするといふふうでした。
【月夜のでんしんばしら】そののすきまからときどき冷たい星がぴつかりぴつかり顔をだしました。
【月夜のでんしんばしら】二人の影ももうずうつと遠くの緑青いろの林の方へ行つてしまひ、月がうろこ雲からぱつと出て、あたりはにはかに明るくなりました。
【月夜のでんしんばしら】ぢいさんはしばらく月やの工合をながめてゐましたが、あまり恭一が青くなつてがたがたふるえてゐるのを見て、気の毒になつたらしく、少ししづかに斯う云ひました。
【月夜のでんしんばしら】でんしんばしらはしづかにうなり、シグナルはがたりとあがつて、月はまたうろこ雲のなかにはいりました。
【鹿踊りのはじまり】そのとき西のぎらぎらのちぢれたのあひだから、夕陽は赤くななめに苔の野原に注ぎ、すすきはみんな白い火のやうにゆれて光りました。

 「黒雲」「雪雲」「うろこ雲」などは見られたが、他の作品などには頻出する「しらくも」「うすぐも」「あまぐも」「アルコホル雲」「ひかり雲」などは見られなかった。
 では雨や雪はどうか。
 意外にも、「雨」は2例しか見られなかった。

【かしはばやしの夜】はざあざあざつざざざざざあ/風はどうどうどつどどどどどう/あられぱらぱらぱらぱらつたたあ/はざあざあざつざざざざざあ」

 『注文の多い料理店』の世界では、雨は「かしはばやしの夜」のこの場面でしか降らない。「霧」を雨に含めて考えることもできるが、霧にしてもやはり「かしはばやし」のこの場面でしか落ちてこないのである。「霧」の用例は6例だった。

【かしはばやしの夜】「こざる、こざる、/おまへのこしかけぬれてるぞ、/、ぽつしやんぽつしやんぽつしやん、/おまへのこしかけくされるぞ。」
【かしはばやしの夜】「あつだめだ、が落ちてきた。」とふくらふの副官が高く叫びました。
【かしはばやしの夜】なるほど月はもう青白いにかくされてしまつてぼおつと円く見えるだけ、そのはまるで矢のやうに林の中に降りてくるのでした。
【かしはばやしの夜】冷たいがさつと清作の顔にかかりました。
【かしはばやしの夜】の中を飛び術のまだできてゐないふくらふの、ばたばた遁げて行く音がしました。

 5.問題点と今後の課題

 語彙頻度を中心にいくつかの用例を取り上げて結果を紹介してきたが、いうまでもなく頻度が高いからといって重要なキーワードであるとは限らない。
 例えば「修羅」は、賢治作品の根底を貫く重要なキーワードであるが、詩「春と修羅」に明らかなように、賢治の意識下において修羅のイメージは大海のそれと密接に連なる形で形成されていた。そして、海という<場>は、水によって満たされた空間という意味においては同時に湖や谷川の底に連なるであろうし、さらに賢治が空間を液層と捉えた(注5)ことを併考すれば、こうした日常の空間そのものが修羅の住む<場>であったこともまた連想されるのである。すなわち、いうまでもないことだが童話集『注文の多い料理店』に「修羅」という語彙が登場しないからといって、これらの物語群に修羅が無縁であるとはいえない。重層的に意味を付与されたことばを精確に「読む」ことは、用例を検討・分析して作品研究を進めていくうえで最も重要なことである。その意味で、1語彙につき1分類という分類方法は、作品分析のための用例抽出に関していえば果たして十分かどうか。張りめぐらされたイメージの連関、作品の地勢図をいかにして電子テクストとして掬い取るか。これがコンピュータを用いて語彙分類を行っていく上での大きな課題ともなろう。
 また、こうした機械可読テクストを用いる場合、とかくデータを作成することに主眼がおかれ、作成されたデータの有益な活用方法については深く論じられることが少ないように思う。冒頭の問題意識に立ち返るようだが、作成するという「作業」ではなく、活用して「立論」することに主眼を置きたい。そのためにも、作品及び作家を比較する材料として、より多くのデータが必要である。以上が蓄積されてはじめて、比較の切り口が多様になり、より新たな「読み」が生まれてくると予想される。本研究に関していえば、童話集『注文の多い料理店』だけでなく、ひろく賢治童話全般、さらには詩、書簡等に至るまでその語彙を抽出、蓄積する必要があろう。
 さらに、こうして蓄積されたデータは多く活用の機会に恵まれることで、その中でより使いやすいものへと改良・修正されていくべき性質のものである。多く活用されるためには、まず汎用性があること、誰にでも容易に操作ができることなどが必要だ。近年のめざましいコンピュータの普及は、より機械可読テクストの蓄積を側面から支援し、より多くの活用の機会を保証することになるだろう。その際、作成する側が活用する上でより簡略・容易なものを心がける必要があろう。
 コンピュータと機械可読テクストが、参考文献や用例の検索から脱却し、従来の読みを問い直す契機になるかどうか。その研究は緒についたばかりである。


【注】
  1. 滝浦真人「宮沢賢治のオノマトペ 語彙・用例集(詩歌篇)補論・〈見立てられたオノマトペ〉」(『共立女子短期大学紀要』39, 1996)36頁。
  2. 副島博彦「「賢治ファイル」の可能性」(季刊『文学』7-1, 1996 岩波書店)60頁。
  3. 注2に同じ。
  4. 赤坂憲雄『「注文の多い料理店」考 イーハトヴからの風信』(1995 五柳書院)
    秋枝美保『宮沢賢治 北方への志向』(1996 朝文社)
  5. 大塚常樹『心象の宇宙論』(1993 朝文社)