トップページ > 記事閲覧
発想は面白いが〜舟越健之輔・著『黒枠広告物語』〜
日時: 2003/01/21 11:47
名前: Ueda

新聞の黒枠広告、すなわち死亡広告から世相の移り変わりをみていこうという本である。
縁起が悪いというなかれ! 発想は抜群に面白い。
文春新書292 259頁 税別750円

インターネット時代が到来すると、会社のホームページに故人の経歴を掲載し、死亡広告にはURLを告知しておく。メールで「弔電」を受け付ける、という新手が登場したのだという。
西条八十が亡くなったとき、「私は今日永眠しました。長い間の皆様のご厚誼に対し厚く御礼申上げます」と、生前に書いておいた自筆の死亡広告がだされたともいうし、ホームページだけなら安上がりだし…。
密かに自分でそういうものをつくっておこうか。ついでにBBSへは追悼文を投稿してもらおうか、などという誘惑にかられたりもする本だ。

しかし、旧制・逗子開成中学の遭難事故の死亡広告に関する記述はいただけない。そう、「真白き富士の根」の歌ができるきっかけになったあの事件である。
逗子開成中学の校長名でだされた遺体発見の報告及び弔問御礼の広告をそのまま載せたのはいいが、この本の著者はこの事件や歌について調査らしいことをしていないと見える。わずか二頁の記述だが、いったい、いくつの間違いがあるのやら…。
興味をお持ちの方は、拙著『謎とき 名作童謡の誕生』と読み比べてみて欲しい。
そういえば、まもななく1月23日がやってくる。少年たちの命日だ。
メンテ
Page: [1]

題名 スレッドをトップへソート
名前
E-Mail
URL
パスワード (記事メンテ時に使用)
コメント

   クッキー保存