五条天神

京都・西洞院[にしのとういん]通松原下ル



神社の由来
創建は、西暦794(延暦13)年、平安遷都のときです。桓武天皇が空海に命じて、大和の国宇陀郡から天神(雷神・水神)を勧請(かんしょう)しました。はじめは「天使の宮(天使社)」と称していましたが、後鳥羽天皇の時代に「五条天神宮」に改称したそうです。
いまでは、天神さまといえばすぐに菅原道真公(845〜903年)を連想します。
しかし、五条天神の創建は、道真公のご誕生よりおよそ50年も前のことです。神社創建の由来と道真公は、関係がありません。


五条天神・正面五条天神・社殿
五条天神・正面五条天神・社殿


ご祭神
大己貴命(おおなむちのみこと)
少彦名命(すくなひこなのみこと)
天照大神(あまてらすおおみかみ)

例祭とご利益
古来から医薬、禁厭(きんえん=まじない)の神として信仰され、毎年5月10日に例祭がとりおこなわれます。
節分には、厄除のために大勢の参拝者が訪れ、宝船図が授与されます。

解 説
現在の社殿は、1864(元治1)年の蛤御門の変で社殿が消失したあと、再建されたものです。
中世の頃は、うっそうとした森に囲まれ、広大な境内には壮大な社殿が建っていました。しかし、いまはマンションやビルに囲まれています。すっかり狭くなった境内が駐車場になってしまい、正面の鳥居から自動車が出入りするなど、神様にはなんともお気の毒な状態です。
かつては、境内が道祖神社とひとつづきであったようです。


参考文献
上田信道『名作童謡ふしぎ物語』(創元社 2005年1月中旬発行予定)