『日本昔噺』(東洋文庫)



日本昔噺
 書 名 日本昔噺
 叢書名 東洋文庫 692
 著 者 巌谷小波・著
 上田信道・本文校訂/著
 発行年月日 2001年8月8日
 出版者 平凡社
 頁 数 486ページ
 本体価格 3,200円(税別)


【内容紹介】

桃太郎、かちかち山、花咲爺など、明治お伽噺の巨人・小波が書き直した昔話24篇。附録の創作お伽噺、坪内逍遥らの序・唱歌の全て、挿絵多数を収録。


【コメント】

「日本昔噺」叢書は、児童文学史の初歩を学ぶとき、必ず名前を目にする叢書です。にもかかわらず、これまで簡単には読むことができない資料のひとつでした。以前に臨川書房から復刻版が出ていましたが、発行部数が少ないことからその復刻版すら入手することが難しい状況だったのです。

原本と復刻版を除くと、わたしの知る限り附録の諸篇まで含めて完全に再録した本はこれまでにありません。また、復刻版と違って、誤植などを訂正しています。これによって、小波や出版者側の本来の意図を可能な限り正しく再現することに努めました。

本文校訂の方針は次に掲げる「凡例」のとおりです。オーソドックスな本文校訂の方法論からすると、かなりラディカルな方針だろうと思います。特に、ルビの校訂や「極端な当て字」の校訂については批判があるかもしれません。

もし、本書に誤植や校訂に対する疑問などがありましたら、最下段のリンクからメールでお教えくだされば幸いです。



【凡 例】

  1. 本文は「日本昔噺」全24冊(1894〜96 博文館)に拠った。必要に応じて、『改訂:袖珍|日本昔噺』(1908 博文館)『小波お伽百話』(1911 博文館)『小波お伽全集』(1933〜34 吉田書店)や初出雑誌など、諸本を参照して校訂した。
  2. 各編の付録は巻末にまとめた。
  3. 本文は原文どおりに表記することを原則とした。明らかな誤植や誤謬、極端な当て字などは校訂した。
  4. 旧字体の漢字は新字体に置き換え、新字体のない漢字は原文のままにした。俗字や異体字は原則として基本形に置き換えたうえ、新字体のあるものは新字体で表記した。
  5. 仮名遣いは原則として原文どおりに表記した。変体仮名や合字は通常の仮名に置き換えた。旧仮名遣いの書法に反する場合でも原文どおりに表記したが、明らかな誤植や誤謬は校訂した。
  6. 記号類は原則として原文のままにしたが、踊り字の誤用など明らかな誤植や誤謬は校訂した。
  7. 原文は総ルビだが、本書では適宜省略した。ルビの欠落を補った箇所もある。明らかな誤植や誤謬は校訂した。
  8. 挿絵は各編から二〜三点を選び、適宜、掲載した。
※本書中には、今日から見て人権上問題のある差別的な内容や表現、他国・他民族を侮蔑する内容や表現が一部に含まれる。それらは過去の社会的背景を反映したものであるから、歴史的な資料性を有することに鑑み、原文のままにした。



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